ゲームの無理な話

ゲームに関する話題をまとめていきます。ゲームのシステムについての話や、ストーリーがあるものについてはその中身も扱う予定です。

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作り手に都合の悪い動きをするプレイヤーについて

予想外の動きをされると困る

ポケットモンスターの初期のシリーズでは、「ポケモン図鑑」を手に入れる前に最初のポケモン(いわゆる御三家)を「進化」させてしまうと、ゲームが続行不可能になるという有名なバグがある。このバグが起こる理由は単純だ。つまり、ポケモン図鑑をもらうための条件が最初のポケモン(進化前)を持っていることであり、先に進むための条件がポケモン図鑑をもらうことだからだ。


おそらく開発者は初期フィールドの雑魚モンスターでは進化にこぎつけないということを想定していた。そのため、進化させることでプレイヤーが条件から溢れ落ちてしまった。このように、プレイヤーは開発者の願望や予想の通りに動くわけではない。プレイヤーがどのようなプレイをするかの想定は念入りにやらなければならないのだ。

 

 

 

可能な動きをできる限り想定せよ

開発者はプレイヤーが可能な動きを網羅しなければならない。ユーザーは必ずしも説明書や攻略本を見てゲームをやっているわけではないので、開発者が求めていない動きをすることもある。その動きによって、ゲームが進められなくなったり、オンラインゲームでは他人に害が及んだりする。こうした想定外の行動は、ゲームの成り立ちをも左右しかねない。

 

良心を信じるな! 協力プレイの悲劇

ユーザーの良心を信じるゲームは失敗する。その代表的な例が、スマホ音楽ゲームバンドリ!ガールズバンドパーティ」(通称・ガルパ)で問題になった協力プレイだ。ガルパでは、平時より協力プレイができる。ランダムに選ばれた5人が同じ1曲をプレイし、合計点に応じた報酬がもらえるという遊び方だ。


この協力プレイにおいて開発者が想定していなかったのは、音楽ゲームをプレイせずに報酬だけ持っていくプレイヤー(もはやプレイヤーではない)がいることである。全体の合計点が基準に達していれば良いので、個人の得点が0点でもプレイヤーは報酬がもらえたのだ。これでは、このプレイヤーがきちんと参加していればもっと高い報酬がもらえたであろう、真面目なプレイヤーたちが報われない。


この問題に気づいたスタッフは、今後のアップデートで「一定の基準に達しなかった」プレイヤーに報酬を与えない仕様にすることを通告したが、アップデート前のイベントには未だ放置プレイヤーが存在していた。ベータテスト段階ではやる気のあるプレイヤーしかいなかったので、このようなプレイを想定できなかったのだろう*1。全てのプレイヤーが良心的で協力的な動きをするとは限らないので、注意が必要だ。

 

想定外の危険! 公園の遊具における事故

作り手や大人の認識不足はプレイヤーに害を及ぼす。(ゲームから話がそれるが、) 公園の遊具における事故ならよく耳にするはずだ。あれは、子どもが禁止されているルールをわざと犯して危険な遊びをするというわけではない。子どもの豊かな想像力が遊具を作った大人の乏しい想像力を超えてしまい、大人が想定しなかった危険な遊びをしてしまうのだ*2。そのため、すでに発生している事故(単なる怪我ではない)を教訓にし、遊具を開発・改良していくしかない。最近では年齢表示など配慮がなされるようになったし、危険な遊具があればSNS等で情報が拡散するようにもなっている。


こうした想定外の行動が起こったゲームをここまでに挙げたシリーズから出すとすれば、ポケットモンスターダイヤモンド・パールの「なぞのばしょ」のバグが挙げられる。たった1マスの設定ミス*3から、通常のプレイでは到達できないマップに到達してしまったというのがこの問題だ。本来到達しえない場所に移動することで本来手に入らないポケモンをゲットすることもできる反面、誤った場所に到達するとゲームが進行不可能になる。のちに修正プログラムが配布されたが、インターネットが普及し始めた時代、多くの子どもたちが間違った遊び方を真似するようになった。このように、作り手の想像力が足りないと、プレイヤーは間違った遊び方をしてしまうのだ。

 

想定外の損失! 仕事をサボる従業員

プレイヤーは作り手が想定するほど真面目に動かない。例えば、外回りの従業員やノマドワーカーは、オフィスを離れたら十分な仕事をするだろうか? よほど真面目な従業員であれば、1秒たりとも気を抜かずに働き続けるだろう。だが、中にはサボる人もいるかもしれない。良心の問題とも少し似てくるが、上司の目がないところでは従業員は真面目に働くとは限らないのだ。この問題は、経済学でプリンシパル・エージェント問題と呼ばれている。プリンシパル(依頼主)はエージェント(委託者)の行動を監視できないため、エージェントがプリンシパルのために働かない可能性があるという問題だ。


この問題の主な解決手段は、出来高を報酬に組み込むことだ。1日16時間働いても16時間サボっても報酬が同じであれば、頑張る意味はない。


ゲームでも同じで、◯◯という行動をしてほしい、あるいはしなければ進めない場合は、その真摯な願いを示さなければならない。もちろん、示すことだけしても、高望みな条件であればプレイヤーは従わないだろう*4。なんらかのアイテムを手に入れてほしい場合はほのめかす*5、プレイしてほしいイベントステージがあるときは、プレイのためのアイテムを少し配布するなど、プレイヤーを奮い立たせる報酬が必要だ。

 

想定外の正解! 正しいのに×になるテスト

正しい行動なのに、誤りと認識されることがある。現実で言えば、算数(数学)や英語のテストがそれに当たる。Twitterで度々話題になるのが、子どもの算数のテストで「かけられる数」と「かける数」の順番が間違っているので×をつけられたという話だ。数学になると、解法は正しいし解も正しいのに、先生がその解法を想定していなかったからバッテンということになるのだろう。


英語では、同じ意味になる英文がいくらでもある。例えば、”I _ _ a pen.” (私はペンを持っていません)という穴埋め問題があったとき、先生が想定しているであろう答えは、”I don’t have a pen.”だ。しかし、 英会話スクールなどに通っていた生徒は”I haven’t got a pen.”と答えるかもしれない。どちらも間違ってはいない。しかし、後者は習っていないので、×をつけられる可能性が高い。このように、間違っていないのに誤りと捉えられうる問題はいくらでもある。

 

適切なルール作り

ここまでに挙げたような問題の解決手段を探っていきたい。具体例を挙げながら、どのようなやり方がふさわしいか考えていく。

 

間違った行動を規制

ポケモンGOはその特殊な遊び方が注目され、世間の批判を浴びることとなった。現実の世界をプレイヤーが徒歩で移動することによって、地図上に設置されたアイテムや、地図上に出現するポケモンをゲットすることができる。しかし、アイテムが設置されている場所が自宅から遠いなどの理由から、自動車を運転しながらプレイする人が後を絶たない。スマートフォン画面を見ながら運転することは当然、道路交通法(第七十一条五の五)で禁止された行為である。そもそも、自動車を運転しながらのプレイは、開発者が望んでいる遊び方ではない。なので、自動車を使った危険なスマホゲームを配信しているという認識は誤りだ。


こうしたこともあって、運営側も世間の理解を得るために、一定のスピードを超えると警告を表示したりポケモンが出現しないようにしたりする措置を施している*6。ゲームをプレイしながら運転するなどの間違った行動を防ぐには、法律を盾にするだけでなく、ゲーム側も努力を示す必要がある。この場合は、車を運転しながらプレイする行為をゲーム内で禁止する(一定のスピード以上ならば、ゲームをプレイできない)というルール作りがその努力に当たる。間違った行為はユーザーのモラル意識に任せず、作り手が規制していく必要があるのだ。

 

参考:道路交通法における携帯電話と画像を表示する装置についての規制

五の五  自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百二十条第一項第十一号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第十六号 若しくは第十七号 又は第四十四条第十一号 に規定する装置であるものを除く。第百二十条第一項第十一号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。

道路交通法 第七十一条

 

 

「正しいが、想定されていない」行動はないように

ドラゴンクエスト4」では、「キングレオ」というボスを倒せなかった女性たちが勇者を探す旅に出るというシーンがある。このボスは平均的なプレイでは倒すことができない。しかし、レベルを上げて倒すことは可能だ。もちろん、このシーンではプレイヤーがボスと(普通に)戦闘をして負けるという行動が前提になっており、たとえ勝ってもボスに負けた体でそのまま進む。ゲーム内で禁止されていない正しい操作をしても、この仕打ちだ。リメイク版でもそうなっているが、もはやマニア向けのお遊びなのだろう。


さて、そのような間違った行動を防ぐためには大きく分けて2通りのやり方が考えられる。ひとつは、負けるための戦いであることをプレイヤーに認識させることだ。今であれば、ムービーなどを使って女性たちが負ける様子を描くことも可能だろう。わざわざ戦闘などという、勝たせるチャンスを作る必要はないのだ。同様に、進んでほしくない道があるという場合は、通せんぼを設置するなどして、その先へ進むのを禁止すればいい*7


もうひとつの方法が本題である。即ち、キングレオを倒してしまうルートを組み込むという方法だ。キングレオを倒すという行為を正しい行動として処理し、そこから別のルートで物語を進行させる。最初に出したポケモン図鑑の例のように、想定している状況が少なすぎて、ユーザーが条件から溢れ出てしまうというのがキングレオ戦の問題である。なので、キングレオに勝つという条件を追加し、ルートを増やすのだ。倒した後はどうなるのかという疑問もあるかもしれないが、2人いる女性のうち1人は占い師なので、なんとかして勇者に会うだろう。


そもそもなぜプレイヤーが間違った行動をするかといえば、前述の通り、開発者側の管理の不徹底や認識不足があるからだ。もちろん、元々はファミコン版なので容量の都合や技術の問題もあると思うが、頑張れば倒せるという認識を欠いていたと考えることもできる。少なくともキングレオを倒す遊びは危険ではないので、ユーザーが楽しく遊べるよう配慮するのも手だと考えられる。

 

条件から溢れないために

ここまでで考えてきたように、ゲームのプレイヤーはときに開発者の想定を超える行動をしてしまうので、対処が必要になる。つまり、間違った行動ができないようにしたり、その行動に条件をつけたり、できるだけ分岐を増やしたりすることが開発者には求められる。プレイヤーは開発者の犬ではないのだ。


ところで、ポケモンサンムーンでは、性別の選択肢が廃止になった。これはトランスジェンダーやXジェンダーの人に配慮したものだと思われるが、見方を変えれば、想定されていなかった行動(トランスジェンダー・ Xジェンダーの人がポケモンをプレイする)をゲームに組み込んでいると捉えることができる。前作のX・Yで主人公の肌の色の選択を導入したときも、黄色人種しかなかった選択肢に白人と黒人を加えるという大革命を行なっていた。技術の発展でゲームの機能や形態が多様化する中、こうした多様な遊び方にも気を配ることが求められている。

*1:そもそも、なぜやる気がないプレイヤーが協力プレイをするかというと、協力戦では各種報酬やイベントポイントが個人プレイより多くもらえるからだ。イベントにはイベント限定の報酬もあるので、それがほしい一心でポイントが手に入る放置プレイをしたのだろう。

*2:例えば、滑り台の頂上に縄跳びのロープの片方をくくりつけ、もう片方を首に巻いて滑ったことによる死亡事例がある。

首に縄跳びひも、公園滑り台で4歳児死亡 東京・江戸川 :日本経済新聞

パーカーの紐を巻き込む場合もあり、決して例外的な稀有なケースとは言えない。

*3:本来通れない場所(一部の壁)が通れるようになっていた。そこからマップを辿るとどこかのマップへ移動してしまう。そのため、限定公開にする予定だったと思われる未公開のマップにまで移動できるようになってしまっていた。

*4:例えば、1日1回ガチャを回すとアイテムゲットなど。

*5:「◯◯というアイテムは〜な効果があるそうです」と街の人に話させるなど。

*6:よくあるご質問|『Pokémon GO』公式サイト

*7:ドラクエの場合は、初期の街の鍵のかかった部屋に、強い武器などが設置されている場合がある。この場合、鍵はその武器を手に入れることを禁止しているルールだ。(鍵を持っていないならば、武器を手に入れることはできない)

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