ゲームの無理な話

ゲームに関する話題をまとめていきます。ゲームのシステムについての話や、ストーリーがあるものについてはその中身も扱う予定です。

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スマホゲームのストーリーでアニメ本編の補完をするというお話

スマホゲームはコンテンツ展開力が高い

アイカツ!フォトonステージ」では、新譜面「episode Solo[伝説級]」が公開され、それに伴ってシナリオ「如月ツバサ」の6話・7話も読めるようになった*1。このうち、7話はアニメ本編を補完する内容になっていた。アニメ本編で友情をまやかしだと思っていたツバサは、ある出来事をきっかけに考えを改めることになる。スマホゲームでは、アニメの後日談を通じてツバサの変化を振り返る。現在、ストーリー展開の都合上、アニメではこのキャラクターの出番が減っている。しかし、ゲームは現実やアニメの数ヶ月前という設定のようで、ツバサのストーリーを本編との矛盾なく展開していた。

 

 

スマホ版ストーリーの補完

似た手法は「BanG Dream!ガールズバンドパーティ」でも取られている。このゲームでイベントなどのストーリーに加え、カード自体にもストーリーが付いているということは以前にも指摘した。そのカード自体に付いているストーリーというのが、通常及びイベントストーリーを振り返る内容なのだ。


例えば、2人のキャラクターが喫茶店でお茶をしているという場面がある。このシーン自体はごくわずかなものだったが、カード用のストーリーではそれを後日談として展開している。ただ単に「このキャラクターがこういうことを話した」だけで済ませるのではなく、そのとき聞き手がどう感じていたのか、話し手をどう評価しているのかなどが明かされ、エピソードが無限に広がっていく。このように、スマホはアニメよりも柔軟なやり方でストーリーを展開することができ、ユーザーと公式の両方の助けになっている。

 

 

アニメに対するスマホゲームの強み

多数のキャラをさばける環境

スマホでアニメやスマホゲームのストーリーを補完するのは、アニメでは補完しきれないからだろう。全てのキャラクターのエピソードを補完するのは予算的にも、尺的にも難しいのだ。


例えば、アニメ映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』では、全員分(12人)のCGダンスやエピソードがある前提で設定が組まれていた。キャラクターソングはすでに用意されているが、続編で全員分のCGダンスを用意するとなると、予算も尺もオーバーになる。そのダンスに込めた想いや経緯を説明する必要があるので、全員分やったら日が暮れるだろう。


4クールのテレビアニメで女の子の活躍を描いていた頃は、15人分のCGを用意する余裕があった。だが、劇場公開が前提の同作ではそれは難しい。それでも12人のストーリーを描きたい。そこで登場するのが、スマホゲームである。ゲームは容量の限界こそあっても、番組としての尺を気にする必要がない。

 

経済的な製作サイクル

スマホゲームはアニメに比べて効率的に展開できる。そもそも、アニメ番組に予算がかかるのは、話と絵と音を作るのに予算がかかるからだ。そのうち、絵は必ずしも必要とは言えない。むしろ、毎話新しいものを何千枚も用意する必要があり、とても効率が悪い。だが、ドラマCDというものもある。だから、口が動いていなくても、何らかの動作をしていなくても、受け手の想像力さえあれば話は成立するはずだ。


実際、スマホゲームでは、数種類の感情を表したキャラクターの絵と音声を流すことでストーリーを成立させているものもある。そう考えると、アニメよりもスマホゲームの方が一度作ったリソースを永続的に使えて節約になる。もちろん、CGダンスに関しては、新たなものが出るたびに作り直す必要があるだろう。だが、CGにしてもキャラクター絵にしても、収入を頼りに持続的に作り続けられるわけで、グッズから収入を得るアニメとは違う*2

 

感謝や人気のフィードバック機構

スマホゲームとアニメとの大きな違いは、コンテンツの支持率やキャラクターの人気が収入額となって表れることである。「今回は◯◯ちゃんのイベントだから頑張ろう」とか、「××くんの新作URが出てきて嬉しい」といったプレイヤーの感情がそのまま収入に表れる。だから、人気キャラにリソースを割けるし、製作のモチベーションにもつながる。既存のノウハウを利用して人気キャラを生み出そうとする、博打じみたアニメとは違うのである。


一方で、そこそこの人気はあるが、様々な事情によってアニメでは活躍させられないというキャラに関しても、ゲームで補完することができる。フォトカツで言えば、「三ノ輪ヒカリ*3」や「服部ユウ*4」といった脇役キャラがそれに当たる。フォトカツの脇役は最上級レアのカードになるまでは至っていないが、ストーリー上では活躍しており、人気投票でも健闘していた。ちなみに、アイドルマスターのような力のあるコンテンツであれば、人気のボイス未実装キャラに声をつけるぐらいお安い御用らしい。このように、アニメよりもユーザーの声を反映しやすいのが、スマホゲームの魅力である。

 

スマホゲームを取り巻く課題

もちろん、ゲーム内でストーリーを展開することはいいことづくめではない。ゲームという空間的・時間的に拘束された環境は、アニメ以上に人を選ぶ。安く済ませてボロ儲けしようとか、テキトーなものを作っていてもファンならお金を落としてくれるだろうという甘い考えも禁物だ。大切なのは、文字通りファンに愛してもらえるコンテンツを作ることである。ここでは、今挙げたような浅はかな考えについて具体例を出しながら考えていきたい。

 

外部コンテンツの失敗

スマホゲームのコンテンツ展開は、結局外部のリソースに頼ることになる。ライブやコラボカフェなど、リアルのイベントや店舗とコラボして、ゲーム内イベントを開催するものもある。もはやスマホゲームはアニメと同列に扱えるぐらい大きなコンテンツになっているのだろう。ただし、スマホゲーム外のコンテンツ(アニメ化など)には、いくつか失敗事例が出ているようだ。


現実問題、2つのジャンル間を綱渡りする曲芸はどこまで通用するのだろうか? 例えば、車が好きなことと車のアニメが好きなことは違う。車が好きという人が車のアニメが好きとは限らない。危険な綱渡りをするだけでなく、無理に冒険せずにゲーム内・ネット内でできることをやっていくのも重要だ。綱渡りをする場合は、それがゲームプレイヤー(アニメ視聴者)にとって有効なのかしっかり検討するべきである。

 

解釈違いとキャラクター崩壊

そもそも、よいIP(知的財産=キャラクターコンテンツ)があるからと言って、よいゲーム(またはゲーム原作のアニメ)が作られるとは限らない。キャラクター同士の関係性がアニメのそれと変わってしまったり(ゲームからアニメになる場合もまた然り)、キャラクターの一人称や台詞回しが変わってしまったりして、せっかくの素材が台無しになってしまうこともあるのだ。


大人のキャラクターファンは、キャラクターを可愛さ・かっこよさではなく、人間性や周囲との関係性で評価する。口調やキャラクターの方向性はもちろん、誰が好きで誰が嫌いか、誰を支え誰に支えられているかなどの人間関係は、その人やその仲良しコンビについて語る上でとても重要なのだ。キャラクターコンテンツ事業者には、人気IPを金のなる木と判断して安い人件費で低俗なコンテンツを作るのではなく、ユーザーに感謝されるような優良コンテンツを作ることが求められている。

 

無料サービス≠入りやすさ

課金アイテムや最高レアのカードを配ったからといって、新規ユーザーが飛び込んでくるとは限らない。値下げセールをしたからといって個人の飲食店に客が増えるわけではないのと一緒だ。飲食店の価値は料理の味で決まる。ゲームの価値は面白さで決まる。幸い、スマホゲームにはプレイ画面のスクリーンショットや動画、ストーリーなどがある。新規ユーザーを増やしたいのであれば、そうした素材を使って、面白そうと思わせなければ意味がない。これは運営だけではなくファンも同じだ。友人には「石」がもらえることよりも、キャラクターやストーリーに魅力があることを教えよう。

 

まとめ:効率的に魅力あるコンテンツを

スマホゲームは、アニメよりも多く情報を供給することができ、公式にとってもファンにとっても嬉しい。1話30分×12話という尺にとらわれず、作画を気にする必要もない。むしろ、ゲームの絵は使い回しの融通がきくし、使い回せない部分はユーザーから永続的に得られる収入に頼ればよい。それに、キャラクターごとの課金額に応じて、ファンの好きなキャラクターを優先的に描けるという利点もある。スマホゲームはアニメよりも効率的なのだ。


ただし、ファンと真摯に向き合わないと、たとえ大手コンテンツであってもファンの反感を買うだろう。そもそも、ゲームプレイヤーとアニメ視聴者では選好や消費行動が異なる可能性がある。アニメでは成功したプロモーションの手段も、ゲームでは成功するかわからない。内容に関しては、費用をカットして粗悪なものに仕上げてしまうと、本来のキャラクター性を損ね、ファンの反感を買いかねない。優良なゲームを作るには、優良なシナリオライターを雇う必要があるのだ。


それから、せっかくよいコンテンツがあるのに、プロモーションでそれを生かさなかったら意味がない。新規登録キャンペーンで強調するべきは、無料石でもアルティメットレアでもなく、ストーリーの面白さやキャラクターの魅力である。ユーザーが求めているのは優良コンテンツであり、無料サービスなどは二の次なのだ。いずれにしても、コンテンツ事業者にはスマホの利点を生かしつつ、効率的に魅力あるコンテンツを作ることが求められている。

*1:フォトカツは楽曲を解放するためにエピソードを読むことが求められる。

*2:ただし、スマホゲームも人気がなければ当然失敗するし、スマホゲームにしておけば必ず成功するわけではない。

*3:メインキャラクターの親友でライバルだが、主役回以外ほぼ名ありのモブである。設定上、ネットアイドルということもあり、アニメ本編ではほとんど顔を出さない。しかし、販促用キャラクターとして考案されていなかったのにCGをもらった数少ない一人であり、脇役の中でも人気が高い。

*4:2代目主人公のルームメイトだった。2代目主人公になる「大空あかり」の登場初期に一緒にいたのだが、部屋替えや留学という形で表舞台からほぼ退場する。最初から販促対象のキャラクターとして意図していなかったのだろう。しかし、現実の人気アイドルにデザインが似ていたこと、初代主人公のルームメイトは主役級だったこともあり、人気と期待が集まる。アーケード筐体に逆輸入されるなど、高待遇が続いた。

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