ランク戦に多様性を取り戻せるか?
MINI BOXの仕様が変更され、全部で100パックになった。
好きな高レアカードが引きづらくなった分、カードの種類が増えた*1。
今回はその新ミニボックス「エンパイア・オブ・スカーレット」から、「ヴァンパイア」をピックアップしたい。
これまではアンデット族の一部という感じだったが、専用のサポートカードが実装されたので、テーマで組めるようになった。
ヴァンパイアモンスターは何ができるの?
ヴァンパイアモンスターといえば、相手のデッキからカードを墓地へ送る「ヴァンパイア・ロード」が有名だが、それだけではない。
ヴァンパイアの主な効果を3つ紹介したい。
相手のカードをデッキから墓地へ送る
このうち、新しいカードと強いシナジーを持つのが、相手のカードをデッキから墓地へ送る効果だ。
「ヴァンパイア帝国(エンパイア)」は相手のデッキからカードが墓地へ送られた時に、自分の手札・デッキからヴァンパイアモンスターを墓地へ送って、フィールド上のカードを1枚破壊する。
これは可能な限り必ず発動する効果なので、自分のデッキ切れに気をつけなければならない*2。
それから、相手のフィールド上にカードがない場合、自分のカードを破壊することになる。
さて、ヴァンパイアと名の付かないアンデット族モンスターもこの効果を持っている。
ヴァンパイア帝国にはダメージ計算時のみ、アンデット族モンスターの攻撃力を500アップする効果もあるので、入れても問題はない。
だが、相手のカードを破壊する効果はヴァンパイアモンスターを墓地へ送ることでしか使えないので、注意したい。
この効果を持っているカード:
- ヴァンパイア・グレイス
- ヴァンパイア・ロード
- ヴァンパイア・レディ
戦闘破壊した相手モンスターを自分フィールドに特殊召喚する
ヴァンパイア帝国で攻撃力がアップするので、相手のモンスターを特殊召喚する効果が発動しやすくなった。
その中で、「ヴァンパイア・スカージレット」と「ヴァンパイア・グリムゾン」には「可能な限り」という文言がある。
つまり、攻撃回数が増える・相手に無理やり攻撃させるなどの効果で2体以上モンスターを破壊した場合は、フィールドが埋まるまで特殊召喚できる*3。
特殊召喚できないという条件を持っているカードもあるので、気をつけよう。
この効果を持っているカード:
- ヴァンパイア・グリムゾン
- ヴァンパイア・スカージレット
- ヴァンパイア・ベビー
自身を墓地から特殊召喚する
この効果で、手札に上級モンスターしかない場合や、フィールドの上級モンスターが破壊された場合に対応できる。
まず、ヴァンパイアモンスターの最大の難点が、レベル5以上のモンスターの多さだ。
ヴァンパイアではないアンデットモンスターを入れて、これを補うこともできる。
しかし、アドバンス召喚につなげられるかわからない。
そんなとき、墓地にある場合に特殊召喚できるモンスターがいる。
「ヴァンパイアの使い魔」は、手札かフィールドからヴァンパイアと名のつくカード1枚を墓地へ送り、墓地から特殊召喚できる。
さらに、ライフポイントを500支払うことで、アドバンス召喚したいヴァンパイアモンスターをデッキから手札に持ってこられる。
この効果を持っているカード
- ヴァンパイアの眷属
- ヴァンパイアの使い魔
次に、ヴァンパイア・ロードなどの墓地から特殊召喚できる上級モンスターを紹介したい。
ヴァンパイア・ロードの場合、相手の効果で破壊されたら、次の自分のターンのスタンバイフェイズに蘇生できる。
条件付きであるものの、破壊されても自動で復活するのはありがたい。
この効果を持っているカード
- ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア
- カース・オブ・ヴァンパイア
- ヴァンパイア・ロード
フィールド魔法「ヴァンパイア帝国」によって、相手のカードをデッキから墓地へ送る効果に、カードを破壊する効果が追加された。
攻撃力も上がるので、戦闘で破壊した相手のモンスターを奪う効果も使いやすくなった。
「ヴァンパイアの使い魔」は墓地から特殊召喚することで、デッキから上級モンスターを手札に加え、アドバンス召喚につなげられる。
その他の効果
その他にも、魅力的な効果がある。
「ヴァイパイアジェネシス」は、手札からアンデット族を捨てることで、そのモンスターより低いレベルのアンデット族を墓地から蘇生できる。
特殊召喚のためにヴァンパイア・ロードを除外する必要がある反面、レベル7の「ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア」の登場で若干使いやすくなった。
「ヴァンパイア・ドラゴン」はアドバンス召喚されてから墓地へ送られたとき、デッキからレベル4以下のモンスターを手札に加えられる。
ヴァンプ・オブ・ヴァンパイアは召喚時か、他の自分のヴァンパイアモンスターの召喚時に、自身より攻撃力の高い相手モンスター1体を装備できる。
ヴァンプの攻撃力は2000なので、だいたいの上級モンスターは装備可能だ。
ヴァンパイア帝国はダメージ計算時にしか適用されないので、この効果が存分に発揮できる。
装備したモンスターのもともとの攻撃力分、攻撃力がアップするので、一見攻撃力が低そうなこのカードはかなり強い。
どんな魔法・罠カードが追加されたの?
墓地を肥やす&蘇生 「ヴァンパイア・デザイア」
ヴァンパイアカードには、墓地にカードがないと効果を適用できないものもある。
それから、上級モンスターが多いので、何枚も入れていられない。
そんなデッキを回すのに役立つのが、「ヴァンパイア・デザイア」だ。
まず、フィールド上のモンスター1体のレベルをヴァンパイアモンスター1体と同じにする効果がある。
この効果を使うために、選択したモンスターと異なるレベルを持つヴァンパイアモンスター1体を墓地へ送る。
例えば、レベル4のヴァンパイア・レディを選択して、レベル6のヴァンパイア・グレイスを墓地へ送ることできる。
それから、墓地のヴァンパイアモンスターを選択してから、フィールドのモンスター1体を墓地へ送り、特殊召喚する効果もある。
モンスター1体を墓地へ送るため、フィールドにモンスターがいないタイミングでは使えない。
2つの効果はレベル7のヴァンプ・オブ・ヴァンパイアの墓地からの特殊召喚にも使えて便利だ。
しかし、使える効果は1回につき1つで、同名カードは1ターンに1枚しか発動できないので、注意したい。
「ヴァイパイア・デザイア」はヴァンパイアモンスターを墓地へ送れるので、蘇生の効果が使いやすくなる。
蘇生の効果も選べるが、1ターンに使えるのは1枚だけ。
召喚を増やす&ライフを吸血 「ヴァンパイアの領域」
ヴァンパイアの領域は1枚でヴァンパイアモンスターの弱点を補える。
第一に、アドバンス召喚につなげられないという問題については、500ライフポイントを払って通常召喚を1回増やす効果で対応できる。
このカードは、フィールド上にすでにモンスターがいる場合でも使える。
リリースできるモンスターを2体用意すれば、2体のモンスターをアドバンス召喚することも可能だ。
第二に、ヴァンパイアにはライフポイントを支払う効果が多い。
でも、ヴァンパイアの領域なら、ヴァンパイアモンスターが相手に戦闘ダメージを与えた分だけ、ライフポイントを回復できる。
帝国と領域があれば、だいたいの懸案事項は片付く。
たしかに、レベルにかかわらず特殊召喚できる「ミイラの呼び声」のほうが強力な感はある。
だが、デッキ枚数、フィールドに置ける魔法・罠カードの枚数、領域には回復効果があること、ヴァンパイアと名のつくことを考えて使いたい。
ヴァンパイアの領域は、ヴァンパイアモンスターの召喚権を増やす。
ヴァンパイアモンスターが相手に与えた戦闘ダメージ分、ライフポイントを回復する。
1枚で場を整える「ヴァンパイア・シフト」
とはいえ、ヴァンパイア帝国が引けないと、このデッキは弱い。
しかし、「ヴァンパイア・シフト」なら、ヴァンパイア帝国をデッキから発動して、墓地のヴァンパイアモンスターまで特殊召喚できる。
2つ目の効果は使わなくてもよいので、初手でセットすれば、次の相手のターンに発動できる。
でも、コストを必要としないことから、特殊召喚の効果はデザイアよりも強い。
ただし、フィールド上にアンデットモンスターが必要なこと、特殊召喚は守備表示で行うことに注意したい。
デッキからヴァンパイア帝国が発動でき、モンスターの特殊召喚もできる。
コストはないが、条件はあるので注意。
作成例(×22)
ヴァンパイア以外のアンデット族モンスターを入れることもできるが、ひとまずはヴァンパイア単独での構築をおすすめしたい。
ヴァンパイア上級モンスター(×5)
- ヴァンパイア・グレイス×1
- ヴァンパイア・スカージレット×1
- ヴァンパイア・ロード×1
- カース・オブ・ヴァンパイア×2
ヴァンパイア・グレイスはヴァンパイア帝国と非常に相性がよい。メインフェイズに相手のカードを墓地へ送る効果を発動できるので、無駄がない。
ヴァンパイア・スカージレットの登場で、レベル5以上のアンデット族モンスターが特殊召喚に成功したとき、2000ポイントを払って墓地から特殊召喚する効果も使いやすくなった。
カース・オブ・ヴァンパイアは自身の効果で墓地から特殊召喚されたら攻撃力が500ポイントアップする。
これは、攻撃力が2500になるという意味で、もう一度同じ効果で特殊召喚されても3000にはならない。墓地へ送られたら攻撃力のアップダウンはリセットされる。
でも、ヴァンパイア帝国の効果が適用されれば、攻撃力が3000になり、青眼の白龍と相打ちが狙える。
ヴァンパイア下級モンスター(×8)
- ヴァンパイアの眷属×2
- ヴァンパイアの使い魔×1
- ヴァンパイア・ベビー×2
- ヴァンパイア・レディ×3
ヴァンパイアの眷属とヴァンパイアの使い魔は、自身の効果によって墓地から特殊召喚されている場合、墓地へは送られない。これらのカードを墓地へ送って発動する効果は不発になる。
ヴァンパイア・デザイアのコストには選べるが、特殊召喚する効果は適用されない*4。
そのような状況になったら、バグではなくそういう裁定だということを覚えておこう。
ちなみに、眷属の効果は使い魔の魔法・罠カード版。魔法・罠カードをデッキから手札に加える。
魔法・罠カード(×9)
- ヴァンパイア帝国×2
- ヴァンパイア・シフト×1
- ヴァンパイア・デザイア×2
- ヴァンパイアの領域×2
- 突進×2
デッキの多様性に苦慮?
運営がたびたび口にしているのが、「デッキの多様性」という文言だ。
例えば、ランク戦で「空牙団」が流行ると、みんなが空牙団を使ってしまう。
そうすると、ゲームがつまらなくなるし、「空牙団のカードだけそろえればいいや」ということになってしまう。
特に、80パック時代のミニボックスは高レアカードを引きやすかったので、こういう傾向があった。
これでは、売上的にもまずい。
そこで、今回はメインとなる新規テーマに加えて、既存テーマの補強やアニメで活躍したカードをふんだんに盛り込んだようだ。
これで新規テーマに人気が偏ってしまったら、今回の改革は失敗といえる。
でも、セールの体系を変えるなど努力もしているようなので、結果に期待したい。
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*1:MAIN BOXのカードが20枚減っただけなので、全体としては変わらない
*2:ヴァンパイア帝国 | カードに関連するQ&A | 遊戯王 オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ - カードデータベース