人気ゲームの派生作品が失敗する理由
スマホ用アプリゲームが普及するにしたがって、人気ゲームの派生作品が増えている気がする。
- 現行作品から派生したゲーム
- 旧作のリブートとして作られたゲーム
などが挙げられる。
中にはうまくいかないものもある。
製作チームの原作ゲームに対する敬意が足りないからではないかと思うことも多い。
具体的に言えば、
- 原作ゲームの全体図をつかんでいない。
- 需要の正体がわかっていない。
- 宣伝文句が間違っている。
(ゲーム全般にある失敗については、ここでは言及しない。)
どういうことか、この記事にまとめたい。
原作ゲームの全体図をつかんでいない
失敗作は原作ゲームへの理解が足りずに、原作のよさが盛り込めていない。
世界観をわかっていない
例えば、
- キャラクターの口調や性格が原作と異なっている
- 原作と異なる絵柄のせいで、世界観が損なわれている
ということが考えられる。
キャラクターのよさが表現されていないと、ファンは悲しい。
それに、原作の「らしさ」が失われていたら、ファンは製作陣が作品を愛していないのではないかと疑ってしまう。
既存ファンの需要を取り込みたいなら、原作の「らしさ」を活かすべきだ。
お金儲けに悪用されている?
中には、単なる舞台や題材として原作が消費されているケースもある。
別のものを描くために、舞台やキャラクターが利用されているのだ。
原作と異なるゲームシステムの中で、原作の用語がこれ見よがしに使われていたりする。
悪い言い方をしてしまえば、「人気ゲームを使って大儲けしてやろう」という魂胆が感じられる。
新しいものを作りたいのであれば、人気作品に乗っからずに新しい作品を作ればよいのではないか?
原作のエッセンスを受け継いでいないと、既存ファンの不信感につながる。
需要の正体がわかっていない
製作会社は、なぜファンが原作ゲームを好きなのかを理解する必要がある。
求めているのはコレジャナイ
例えば、ロボットが人気のシリーズから、パイロットの人間が活躍するゲームを出しても、売れる望みは薄い。
すでにキャラクターと恋愛する作品があるのに、もうひとつ同じような作品を出しても、売れないか需要を食い合う。
そういうことを理解せずに、人気だから売れるだろうと思って作品を出しても、きっと売れない。
仮に新規客を狙って作っても、ターゲット層の需要を正しく理解しなければ、売れる見込みはない。
人気でも売れないことはある
「人気だから売れるだろう」と思うのは愚かなことだ。
人気だからこそ、なぜ人気かを調べることが重要である。
「ヘルシーなラーメン」は求められていない。
それから、この前炊飯器を買ったのに炊飯器を勧めてくるショッピングサイト。
これがなぜ嫌われるのかを考えてほしい。
人気の理由を理解せず、求められていないものを売ると失敗する。
宣伝文句が間違っている
せっかく人気作品を原作にしているのに、キャッチコピーが間違っているものもある。
知名度がないのに……
例えば、一般の認知度が低いが、熱狂的なファンが多い作品がある。
これに「あの◯◯が新作ゲームに!」というキャッチコピーをつけたとしよう。
このキャッチコピーはファンではない人には響かないだろう。
しかも、これは既存ファンに対する言い回しではないので、既存ファンにも売れない可能性がある。
リスペクトが伝わらない
あるいは、原作をリスペクトした要素があるのに、それを活かせていない作品もあった。
ゲームをプレイしていて初めてリスペクト要素があるとわかったのは、少し残念だった。
それこそ「人気ゲームを使って大儲けしてやろう」という風に見えてしまうので、売り出し方には気をつけたほうがよい。
何を全面に出すか
新規ファンに売りたいのであれば、ライト層にウケそうなわかりやすい売り文句をつけよう。
特定のジャンルのゲームプレイヤーに売りたいなら、そのゲームの特徴がわかるとよい。
原作ファンにアピールしたいのであれば、リスペクト要素を全面に出すべきだ。
キャッチコピーを間違えると、誰も買ってくれない。
ゲームからゲームを作るのは何のため?
ここまでなぜ派生作品が失敗するのかについて私なりに考えてきた。
でも、本当に考える必要があるのは、ゲームからゲームを派生させる意味だ。
派生ゲームを通じて提供するのは、
- 新しい遊びか?
- 新しいキャラクターか?
- 新しいストーリーか?
- 既存の価値(の再提示)か?
市場の中で共食いしないように、ゲームを作る目的を明確にすることが必要である。
場合によっては、既存のゲームに要素を追加するか、ゲームではない方法でもよいと思う。
真新しい道路を舗装しなおすようなゲームは、世間から求められていない。
みんなが必要とする道路を作るべきだ。