ゲームの無理な話

ゲームに関する話題をまとめていきます。ゲームのシステムについての話や、ストーリーがあるものについてはその中身も扱う予定です。

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いないはずの弟 スマホ向けゲームでストーリーが修正

設定の共有・校正・校閲の重要性も浮き彫りに 求められる品質

一部のスマートフォン向けゲームで、矛盾があったとしてストーリーのセリフが変更されることになった*1

 

変更になったのは、キャラクターが弟の存在をほのめかしたセリフだ。

そのキャラは明確にひとりっ子として描写されてきたため、大きな矛盾が生じてしまった。

 

以前も他の会社のゲームで、サバイバルゲームが趣味のキャラが一般人に発砲してしまうという描写があった。

この描写も、不適切だとして修正されている。

 

スマホゲームがメディア戦略の一環として重要視される中で、その品質の向上が急務となっている。

ユーザーから求められているものは具体的に何か?

 

 

 

 

量よりも質 キャラの魅力を引き出す

「キャラが喋っていればなんでもよい」というのは甘い考えだ。

スマホゲームに求められているのは、キャラの魅力を引き出す感動的なストーリーである。

 

ファンはキャラ同士の友情を見たい。

困難を乗り越えて、キャラが成長する様を見届けたい。

多少のギャグも大切だが、キャラの魅力を損なうものは求められていない

 

サバイバルゲームの例でいえば、人に発砲したのがコンプライアンス的にも、キャラ的にもまずい。

友情とルールの間で葛藤するとか、別の方法でピンチを打開するとか、いくらでもやりようはあったと思う。

 

そのゲームは、この2年程度でストーリーの量が多くなっている。


たしかに、ファンにとってはコンテンツが増えるのはうれしい。

でも、問題のあるストーリーを量産するのであれば、ファンはそっぽを向くだろう。

ファンを繋ぎ止めたい、あるいは増やしたいなら、量を減らしてでもクオリティを確保するべきではないか?

 

面白さよりも整合性 キャラクターに合わない描写は不要

スタッフの中には、「これをやったら面白いんじゃないか?」という考えもあるだろう。

だが、これまでの描写と矛盾したり、キャラ設定と合わない内容だったら、やるべきではない。

 

今回、いないはずの弟が出てきたのは、手芸に関するストーリーだった。

別のキャラが妹のために手芸をしており、それに対応させる形で弟が登場したものと思われる。


類似性の提示というのは、物語を面白くする一般的な手法である。

でも、そうした描写を入れた結果、ユーザーはむしろ困惑・混乱した。

 

そもそも、件のキャラはみんなのお姉さんという立場がすでに定着している。

わざわざ整合性を崩してまで、類似性を強調する意味はあったのだろうか?

 

一人称・呼称や口調など

スマホゲームのストーリーでは、キャラの呼び名や話し方などの間違いがたびたび指摘される。

キャラの関係性が変化し、呼び方が変わっているのが反映されていないケースもある。

 

そうしたゲームは、製作陣の体制に不備があることが疑われる。

呼称などの設定が共有されていないかもしれない。

 

特に、二次創作をするユーザーは呼称や口調などに敏感だ。

ユーザー間で呼称表を共有しているケースもあり、間違いはすぐにわかる。

 

校正・校閲は機能しているのか?

今回のような間違いを見ると、校正や校閲の部署が機能しているのかすら疑わしくなってくる。

 

校正というのは、文法・語法の誤りや誤字を直す仕事だ。


とある対戦ゲームで、敵キャラが「力不足」を「役不足」と言い間違えていた。

相手が負けたときのセリフなので、明らかにミスだった。

校正がきちんと機能していれば、そうした初歩的なミスは起こらない。

 

校閲は、事実との相違や内容の矛盾を直す。

弟の件であれば、前のストーリーできょうだいについてどう話していたかを調べて、直す。

 

そうしたチェック体制が機能していれば、一度配信したストーリーが訂正される事態は減るだろう。


とりわけフルボイスのストーリーは、発表してからの大幅な修正が難しい。

原稿段階での厳重なチェックが望ましい。

 

キャラクターの魅力を引き立たせる質の高いストーリーが求められている。

それまでの描写やキャラ設定に合わない内容は求められていない。

一人称・二人称や口調などの設定は共有すべきだ。

原稿の段階で文法・語法を正し、内容の矛盾をなくしたほうがよい。

 

文学作品として認められつつある今

スマホゲームのストーリーは文学的な価値が認められつつある。

 

例えば、サービス終了とともにストーリーが読めなくなるのが問題視されている。

これを受け、ストーリーを収録した書籍やオフライン版アプリを出す会社が出てきた。

 

それから、ゲームのシナリオライターが公表されないのも問題だ。

このままでは、ファン活動やライターのキャリアアップにつながりにくい。


「ライターへの批判を避けるために、非公表は仕方ない」という声もある。

だが、校正・校閲がしっかりしていれば、それは防げるのではないか?

 

スマホゲームのストーリーはゲームの従属物ではなく、価値のある読み物になってきている。

粗の排除とクオリティの向上が求められる。

*1:「女性同士の恋愛を好むユーザーのわがままで内容がねじ曲げられた」としているサイトもあるが、発表済みのストーリーと矛盾があったという説が有力だ。

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